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2012-03-19

上場会社のその後を見て考えること

3月に入り、新規上場会社がたくさん出てきていますね。

 

上場するということは、本当にすごいことだと思います。

前職でVCをやっていた時の経験を踏まえると、つくづくそのように思います。

 

第一に、上場できるだけの利益を出すことが本当に難しい。

昔の相場環境でも、増益基調で上場申請期に経常利益1.5億~2億円以上を出さないと上場できなかったわけですが、先行投資のコストを吸収して、継続的に億単位の利益を、増益基調で出すことは容易でないと思います。

 

また、業績は達しても上場申請した後、上場日までに様々なチェックが入り延期になったり、何らかの社会事件を引き金に相場が急落したため延期したり、証券市場のシステムがトラブルに見舞われた都合で上場が延期になったりと、私も散々煮え湯を飲まされました。上場日を迎えるまで、最後の最後まで気を抜けないというのが正直なところです。

 

このような諸々のハードルを乗り越え新興市場に上場した会社は、上場後どのように推移しているか、もしかしたら注目している人は少ないかもしれません。

 

そこで、2006年に新興市場に上場した会社の、上場直後の業績と、5年程度経った2010年の業績を比較してみました。上場廃止になった会社は除き、現在も上場している約130社で調べてみました。

 

概略を言いますと、

・売上が2006年の上場当時より少なくなっている会社が約50%、

・経常利益が少なくなっている会社が約70%

となっています。

 

本当は、上場により知名度と信頼性を向上させ、さらなる飛躍を図ろうとするのが上場の第1の目的であったと思いますが、その目的を果たせている会社が思いの他少ないのが現実です。

 

これは実にもったいないことだと思います。

 

理由は各社とも、個別に固有の様々な事情があると思いますが、いくつか推測しますと、

1.事業の定義範囲が狭い

2.上場申請期に上場するために業績で背伸びしすぎて、その後が続かない

3.上場後に業績をさらに伸ばそうと人材やオフィス面積を増やしたが、経済環境の変化で売上が下がった一方で、売上減少に見合うコストカットが追い付かず利益が減少する

といったことではないかと思います。

 

1.事業定義の範囲が狭いとは、昔、米国で永遠の繁栄事業と言われた鉄道会社が、自社事業を鉄道業と定義したため、鉄道以外のことに取り組まなかったため衰退した。自社事業を運輸業と定義していれば、海運や空運にも進出し、今日でも発展していたのではないか、という話です。

 

2.上場申請期に背伸びとは、上場可否は上場申請期の業績が、計画を上回れるかどうかで決まるため、業績面で背伸びをすることがあります(東証マザーズでは、今後はこの審査基準が緩和される方向です)。しかし背伸びを長くし続けることは人間であれば無理ですので、その反動が出た、優秀な人材も抜けた、ということです。

 

3.は特に説明の必要はないと思います。ただ、多くの経営者が業績悪化の原因を外部環境要因によるものと説明し、現に本当に外部要因が業績を直撃している会社もありますが、中には外部環境というより、経営面でうまくいかなかったことが本当の原因である会社もあると思います。

 

 

 

今回、改めて思ったことは3つあります。

 

1.自社事業の定義は、今後の事業成長の可能性を担保してくれるものかどうか、毎年、確認と見直しが必要である。

 

2.業績は、一生懸命やるのは当然としても、過度な無理をしなければ達成できない状況かどうか?自然体で業績を伸ばしてゆける社内状況かどうか?

 

3.成長が止まっている上場企業であっても、未上場のベンチャー企業に比べれば資金量も信頼度もはるかに高い。リカバリーショットが打てる状況にあるので、ここから中長期にさらなる飛躍を狙ってほしい。

 

ということです。

 

よく「上場は単なる通過点」と言いますが、折り返しの分岐点となってしまわぬよう、上場前からしっかりと成長シナリオを見通してゆきたいところです。もちろん、口で言うほど、簡単ではありませんが。

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