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2012-01-26

手金でいかにやるか

先日、とある日本のVCの方が、「VCが現在の事業モデルで継続するのは難しい」、と言っていました。

VCの事業モデルとは

・投資家等からお金を集め、ファンドを形成する。

・ベンチャーの成長には時間がかかるので、ファンドの満期は10年程度

・有望なベンチャーを発掘しファンドから投資

・投資先の上場やM&Aなどで株式を現金化

・回収した現金をファンド出資者に還元する。

・VCは、毎年ファンドから運営報酬(定額)をもらい、投資先の株式売却で得られるキャピタルゲインの一定割合(20%がスタンダード)を成功報酬として受け取る。

少々粗いですが、ざっとこんな感じです。

しかし、VCさんが新しいファンドを造るに当たって直面していることは、

・10年という超長期の金融商品に投資をする企業が激減している。大手企業といえども、時節柄10年も資金が寝るような商品にお金を出したくない。(比較的短期で運用し、できればいつでも現金化できる商品にしたい、というニーズ。個人も同じと思います。)

・日本の証券市場では、新規公開株とはいえ、一部の急成長銘柄以外は株価が低く、VCにとって、キャピタルゲインが出にくい環境が数年続いている。つまり、ファンド全体で見ると、投資したお金より少ないお金しか回収できない見通しが高い。

・リーマンショック以降、景気が悪い状況が継続しており、投資先の業績も思わしくない。

・ファンドには毎年会計監査が入るが、評価が厳格で、単年度で見てしまうと、ここ数年ファンドの業績が悪い。ファンド出資検討者が検討段階でそのような悪い業績を見ると、お金を出しづらい。

つまり、

・10年という超長期の金融商品を購入しづらい。

・VCも現環境下、ファンドで利益を出す戦略が立てづらい。

ということが、上記のVCの方のコメントの背景だと思います。

さて、このような環境下、従来のようにそこそこ有望と思われるなスタートアップ・アーリーステージ企業が従来のVCから資金を調達するのは極めて難しく、現在調達できている企業は「極めて有望」「極めて有能」と思われている企業で、その数はごくわずかです。

(もちろん、スタートアップの段階で有望と評価されなくても、その後立派に成長する会社は山ほどあります。その逆もまた山ほどあります。)

そこで、これからの起業と企業成長戦略を考えるに当たっては、従来のような資金調達戦略が使えないことを前提に、組み立ててゆかなければなりません。

海外で起業して海外でやるという方を除き、日本でやる場合は、

1.起業前にできるだけ貯金を造っておき、立ち上げ資金は自己資金で賄う。またはサラリーマン時代から、開発など少しずつ事業の準備を進めておく。

2.起業後、少しでも日銭をかせげる事業(制作やコンサルなど)をやりつつ、本当にやりたい事業を少しずつ準備する。本当に進めたい事業もいかにお金をかけずにやるかを考え抜く。

3.事業会社とのアライアンスなどを行った場合、協業効果が出るように務め、事業会社にとって真に必要な存在になる。その上で資本提携に発展させ、資金調達する。

つまり、人のお金を当てにしない、ということが前提となります。

なお、スタートアップ段階で少額出資する投資家さんも少しずつ増えていますが、あくまでネット・スマフォ関連など一部の業種に限られています。また、創業初期の段階で出資してもらうだけに、株価と株式シェアの配分はよくわかった上で出資して頂きましょう。

とにかく、営業キャッシュフローでいかに事業を造るかが勝負となってきます。時々、起業家で日本のVCさんの悪態を突く人もいますが、それは筋違い。VCさんも大変なのです。あくまで現在の環境の中でやりぬく方法を考えなければなりません。「手金でいかにやりぬくか?」がこれからのテーマです。

なお、苦労して造った会社の方が、長期的には足腰の強い、いい会社になると思います。

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