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2013-02-04

ベンチャー企業の成否を分けるポイント

 よく本などにはベンチャー企業の成長図式が創業期から右肩上がりの直線や指数曲線で描かれていますが、創業から数年間、このような成長過程を進むベンチャー企業はほとんどないと思います。なぜでしょうか?

<2種類の事業>

 ベンチャー企業の事業には大きく分けると2つのタイプあります。1つは世の中に認知されていない製品やサービス、もう1つは既にある製品やサービスを革新するもの。例えば前者は、まだ普及していないころのSNS事業、後者はちょっと古いですがQBハウスの10分1,000円の散髪事業、最近ではライフネット生命があります。

 前者は、顧客(あるいはユーザー)の需要があるはずだ、という仮説に基づき事業を進めるわけですが、本当に顧客の需要があるかどうか、実際に製品やサービスを造って顧客に見てもらう必要があります。リーンスタートアップでは、製品やサービスを仮説や思いこみだけで造らず、試供品の開発と顧客の反応を見ることを繰り返し、顧客のニーズを探りながら製品をブラシアップするべきだと述べています。つまり顧客との対話を通じ顧客に寄り添ってゆくことになります。こちらは、製品開発前にアンケート調査をしても効果はあまりありません。顧客は見て触って初めてほしいかどうか判断できるからです。また、顧客に啓蒙・認知させる時間を必要とします。前者の難しさは、1)顧客の需要が本当にあるかどうか?2)需要を満たせる製品やサービスにたどりつけるかどうか?3)実際、顧客の需要がどれくらい大きいか?4)資金調達できたとしても、事業が立ち上がる時間が読めないので、お金のかけ方を間違えるとすぐに資金が尽きること、などがあります。

 後者は既に他社の製品にお金を払っている顧客がいるので、顧客が現在の製品に対する不満部分を突くこと、または、現状では満たされていない需要を突いてゆくことになります。製品開発前のアンケートも効果はあります。前者に比べると製品開発はやりやすいですが、知名度のある会社と比較されるので、会社の知名度や信頼、ブランド力を勝ち取るのに苦労があると思います。こちらも、信頼と信用を勝ち取る時間軸が読めないので、資金の使い方を間違えるとThe Endとなってしまいます。

 いずれも、たゆまぬ顧客(またはユーザー)の反応の検証努力とお金のかけどころを間違えないことが成否を分けるポイントだと思います。

 

<人の事>

 同時に、人に関する事。創業期と成長期では人の動かし方が異なること、企業の成長に合わせて創業期の役員が同じように成長するとは限らないこと、戦略転換についてこない人、戦力の離脱、寝食を忘れて働く創業期の人と大手企業から転職してくる人の融合、指示・報告系統の混乱などなど、人の部分での難しさはあると思います。また、迅速な成長に対するプレッシャーから人材採用を急ぎすぎると自社に合わない人が多数入り込み、お金の無駄遣いになるだけでなく会社運営にバックスピンをかけることもあります。特にお金を調達できた会社が陥りがちなワナです。例えば、事業の仕組みをつくることができる人と出来上がった仕組みの上で能力を発揮する人は全く異なるので、経歴の素晴らしさだけに目移りして、会社のステージに合わない大物を参加させて失敗することもあります。また、素晴らしい技術や能力を持っていることと、部下を持たせてうまく機能させることは全く異なるスキルセットです。部下を持つ人には人間性が必須だと思います。

 これらをうまくやり抜くには、前回記載した、人に共感以上のものを感じ取らせることができる事業コンセプト、日々の目配り、人材採用をあわてないことが大切だと思います。人は最大の資産になり得ると同時に、深遠なテーマを日々感じるところです。

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