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2013-01-30

成長するベンチャーとそうでないベンチャーを分けるのは何か?

 世の中には成長するベンチャー企業とそうでないベンチャー企業があります。各社固有の事情があり、成否を分けている理由は1つや2つではないので、簡単には説明できないですが、成長する会社の共通項はあると思います。

 「事業とは顧客の創造」というドラッカー教授の言葉があり、これ以上の定義はないと思います。お客様に自社の製品やサービスを買っていただくこと。これが事業の最もシンプルな図式です。ネット・スマホビジネスにおいては、サービスをユーザーに無料で開放し、広告収入で売上を立てることがありますが、これも同じことです。

 顧客はよいと思わなければお金を払いませんから、顧客にとってお金を払ってもよいと思える価値を創ることが事業の最も重要なことです。ただ、ここの意識が薄い経営者は多いと思います。取締役会や経営会議で顧客について議論を交わすことは案外少ないのではないでしょうか?でも、ここが薄いと、どんなにすごいメンバーがそろってもダメです。スター軍団の創業メンバーと名だたる株主がそろっているのにうまくいかない会社は、この基本が弱いことが多いと思います。ビジネスモデルや戦略、経営システムが先行しても、肝心要の部分が弱いと誰がやってもうまくいきません。究極の目標は、こちらから営業するのではなく、「ぜひ売ってください」とお客様の列ができることです。

 顧客に対して製品やサービスを造るのは会社の「人」です。ベンチャー企業では経営者の人柄や考え方でその他の役員・社員の動きは決まります。顧客志向の経営者であれば、顧客志向の企業文化が育ちます。誠実な経営者であれば周囲の人は信頼しますし、嘘をつく経営者であれば優秀な人から去ってゆきます。やや話がはずれましたが、まずは経営者が顧客志向であることがとても大切だと思います。

 少人数で会社を続けるのであれば顧客志向だけでよいと思いますが、もし会社を成長させようとするのであればそれだけでは足りないと思います。成長するということは、多くの優秀な人に事業に参加してもらい、よりよい製品・サービスを造りより多くの顧客に届け、外部の応援団に応援してもらわなければなりません。優秀な人が集まり、また集まった人が力を発揮するのは、上から順に「使命を感じること」、「感動すること」、「共感すること」、です。理解する、では足りません。役員・社員から共感以上を得なければなりません(ちなみに経営者は使命を感じてやっている人が多いと思います。)。共感以上を得るためには何が必要か?

 それが「事業コンセプト」です。「事業定義」と言ってもいいですし、「ビジョン」でもいいです。自社の事業は何か?事業を通して何をしようとしているのか?事業の目的は何か?これらを感じ取れる言葉、明快な説明、それが人の共感を呼べるかどうかです。「なるほど!」「おもしろい!」「わくわくする!」などなど、「やってみたい!」を引き出すコンセプトかどうかです。ベンチャーはそこで働く人や協力する人の120%の力を引き出さなければなりませんからね。

 「よくレンガ積みの職人の話が例に出ます。3人の職人に自分の仕事内容を聞いたところ、1人目は「親方の命令でレンガを積んでいる」、2人目は「レンガを積んで塀を造っている」、3人目は「教会を造っている」。3人目のような社員を増やすには、力を引き出す明確な事業コンセプトが必要になると思います。また、事業提携先や投資家など外部の機関も細分化すれば人ですから、やはり事業コンセプトで共感以上を引き出したいですね。人材、資金ともに乏しいベンチャー企業にとって、事業コンセプトは武器であり大きな経営資源だと思います。

 顧客志向と事業コンセプト。今振り返ると、自分が関わって成長した会社の共通項はこの2つです。どちらか1つではなく両方です。この2つがあって初めて、それを実現するための戦略、差別化、戦略を遂行するための戦術の話になると思います。

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