toggle
2012-12-03

とある米国VCの興味深い取り組みとExit環境が日本とまるで違う件

Forbesでは毎年、Midas Listというのを発表しています。米国ベンチャーキャピタリストを中心に、投資先の上場やM&A、株式譲渡で大きな利益を上げた人のトップ100です。

http://www.forbes.com/lists/midas/2012/midas-list-top-tech-investors.html

上位は毎年著名なベンチャーキャピタリストが名を連ねています。2011-2012年の特徴は、Facebook、Zynga、Twitter、LinledIn、GrouponなどのBig IPOや同規模の株式売却の恩恵を受けた方々が多いところでしょうか。

ところで、51位にBaseline VenturesのSteve Andersonという人がいます。知らないVCであり、知らないお名前だったので、Crunch Baseで見てみたのですが、この方、ちょっと興味深いです。

http://www.crunchbase.com/person/steve-anderson-2

経歴はeBay→Microsoft→Kleiner Perkins→Starbucks→Digital Equipmenと記載されています。Kleiner Perkinsは超一流のVCですが、パートナーとして投資を判断したり投資先の取締役になるいわゆるキャピタリストのポジションではなく、アナリストやリサーチの仕事をしていたのではないかと思います。このような立場で加わると、Kleiner Perkinsが超一流であっても、Kleinerにいてはなかなかパートナーになれないと思います。

現在はほぼ1人でやっているのではないかと思います。一般的なVCが投資をする前段階のスタートアップ、シード期のベンチャー投資にフォーカスしています。よく、アクセラレーターとしてY-Conbinatorや500Startupなど、スタートアップを応募して小額出資する組織的な取り組みはありますが、それとは異なり、個別に起業家と接し、スタートアップの起業家を助ける取り組みをしている感じです。Instagramの草創期に投資をしており、Facebookへの売却で大きな利益を出したようです(買収金額は1,000億円くらいのディールです)。また、それだけではなく、その他にも、Big Exitを連発しているようですし、TwitterやTrialpayの初期段階でも出資をしているようです。年間10社くらい投資しているようなので、通常のベンチャーキャピタリストより投資者数は多いです(米国のベンチャーキャピタリストは平均的に年間新規に1~2社程度の投資)。シード段階で厳密にセレクトするのは難しいですから、いろいろな起業家と接する中で成長可能性が感じられる会社には投資しておく、という感じだと思います。VC向けファイナンスの前段階を担うプレーヤーとして、興味深い取り組みだと思っています。

それでも、Big Exitを連発しているのは目を引くところです。この背景には日本とは全く違うM&A文化があります。

例えば、Zyngaですが、未上場時代に17社を買収しています。未上場時の資金調達は860億円になります。またFacebookも未上場時代に20社以上買収、また未上場時の資金調達は2,000億円以上です。また、未上場企業の買収金額は数十億円、数百億円、時としてInstagramのように千億円になることもあります。日本の新興市場の上場会社の時価総額より高いケースがザラにあります。

未上場段階の企業でもこれだけの数を買収し、また資金調達、買収金額も日本とはケタが1~2ケタ違うので、ベンチャー企業を取り巻く資金の回り方、投資家のファンド規模、投資金額、投資家のEXIT環境が日本とは全く異なります。これは米国の起業家的気質と長年に渡り醸成されてきた文化・常識の違いと思いますが、ベンチャー業界の資金的循環の規模としくみが、大規模ベンチャー企業の創出を担っているといっても過言ではないと思います。そしてこのような環境であるからこそ、腕のいいVCは大きな収益を生み出すことが可能であり、それが故にVCファンドへのお金の出し手も豊富なのだと思います。

日本は米国に比べるとまだまだ規模が小さいですが、昔に比べれば進歩していると思います。進歩のスピードは決して速くありませんが、これまで進歩が後退したことはないと思います。でももっともっと進歩させて、日本でも世の中から高く評価されるベンチャー企業がジャンジャンでてきて、日本の産業経済力を押し上げられるようにしてゆきたいですね。

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。