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2012-11-12

シャープ出血止まらず・・・ですが、何がどうなって、どんな出血が出ているのか?

こんな記事が出ていました。

出血止まらぬパナ・シャープ (日経ビジネス 時事深層)

今年の春に、シャープが4,000億円近くの赤字を出す、というニュースを聞いて、営業赤字と思いこみ、4,000億円の赤字とはこれまたどうしたのか?と思いつつ、かといって決算書を見るわけでもなく、でしたが、上記報道を見て、ありゃ?本当に大丈夫か?と思って、シャープの決算関係の資料を見た次第です。

 まず業績推移から。(金額:百万円)

 

H22.3

H23.3

H24.3

H24.9上期

H25.3予想

売上

2,755,948

3,021,973

2,455,850

1,104,166

2,460,000

経常

30,995

59,124

△65,437

△197,281

△210,000

当期

4,397

19,401

△376,076

△387,584

△450,000

純資

1,065,860

1,048,645

645,120

227,903

195,120

H23.3→H24.3 売上高の減少は主として、①国内の液晶テレビの需要がアナログ→デジタル化で一段落、かつテレビの単価が下落、②携帯電話の減少、③テレビ用液晶パネルの環境悪化、④太陽電池の販売が欧州市場の需要減衰と国内競争激化、などのようです。売上高が約5,800億円落ち込み、かつ売上総利益率も18.8%→16.8%と2%落ちているので、さすがに経常ベースでも赤字になりますね。

そして、経常利益△65,437百万円に対し当期利益△376,076百万円と約3,000億円の赤字が増えていますが、この内訳は主に、特別損失の事業構造改革費用117,110百万円と、法人税等調整額115,523百万円です。

事業構造改革費用とは、事業を抜本的に見直す場合に使う勘定科目で、価値を失った資産等を償却する場合にもよく使います。シャープでは、主に液晶工場に関する設備と液晶商品(在庫)の償却費用として計上しているようです。

法人税等調整額ですが、一般的に会計と税務で費用計上は時期が異なることにより税金を前倒しで払うため、その税金を一旦資産に計上し(繰延税金資産といいます)、将来、税金を支払う時に相殺してチャラにします。つまり将来利益が出続け、税金を支払うであろう会社で繰延税金資産は計上します。しかし、シャープの場合は大きな赤字を出し、現段階ではすぐに利益回復するかどうか微妙で、税金をしばらく払わない(つまり前倒しで払った税金を相殺する機会がいつになるかわからない)可能性があるので、過去に計上した長期繰延税金資産を一旦取り崩す、つまり全額費用化する必要が生じました。これが法人税等調整額としてPLに計上されています。(これは、シャープの経常的費用ではなく、過去に資産計上した税金前倒支払い分を取り崩したものです。)

ちなみに、資産の償却も法人税等調整額もお金が外部に出る費用ではありません。

しかし、液晶分野を世界的にリードしていた事業の商品や資産が償却対象になるのは厳しいものがあります。

H24.3→H24.9ですが、引き続き事業構造改革を進めていて、下期黒字化に向け費用や償却を前倒しで進めているようです。液晶商品を前期に引き続き償却し、短期繰延税金資産も費用化しています。通期では450,000百万円の赤字見通し。

純資産ですが、2013.3までに台湾の鴻海グループが670億円の増資を引き受けるようですが、それでも今期4,500億円の赤字を出すと2005.3の純資産は2,621億円になる計算です。純資産は過去に積み上げてきた利益や増資資金。今年グループ創業100週年のシャープ。100年積み上げてきた蓄積ですが、過去1兆円を超える純資産はこの2年で一気に4分の1になってしまいます。

こうなってくると、やはり資金繰りが心配になります。シャープの資金繰りの心配など、普通は考えませんよね。一応銀行団により借入はできたようですが、借入は当然に返さなければならないお金です。自力でキャッシュフローが造れなければ返せません。本当は増資で調達して、計画が後ろ倒しになってもよいよう余裕を持ちたいところです。でも大きく増資すると、どこかのグループ入りになってしまうのでそれも難しい。一方事業的に中立的な金融機関はこの業績では引受けずらい。となれば、いらない資産を売却して現金に換え、かつ、自力で黒字化して資金繰りをよくするしかありません。

H25.3期の下期は、138億円の黒字を目指していることが2012.11.1発表の上期決算説明資料から読み取れます。上期で体制を立て直し切り、下期から黒字を出しながら、体制の最終整理を進め、H25.4期初からは正常な状態で臨み通期黒字化を達成したいところだと思います。

業績とは関係ありませんが、我が国を代表する会社でこれだけ大変なことが起こっているのに、ディスクローズ情報は案外少ないですね。新興市場に上場しているベンチャー企業の方が充実していると思います。

 

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