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2016-07-18

投資契約書や優先株式の内容は難しくない。

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投資契約書や優先株式に関する定款の内容を見ると、読みにくい文言でたくさんのことが書かれています。一見非常にわかりにくくないでしょうか?

でも、要約すると以下を決めているに過ぎません。

 

<投資契約書>

1.起業家側の約束事

・投資を受ける前に投資家に提供した情報に嘘はありません。

・投資を受けた後も、嘘はつかずちゃんと定期的に情報を提供します。

・上場するために事業にまじめに専念するし、重要なことはちゃんと相談します。

・もちろん、反社会的勢力ではありませんし、付き合ってもいません。

嘘というのは、ちょっとした方便ではなく、詐称といったことです。

「表明保証」、「宣誓事項」、「上場努力義務」、「事前承認・報告」といった条項に書かれています。

 

2.投資家の権利を守る

・今後増資をする場合は、株式シェアを維持するために追加出資できる権利。

・起業家だけが勝手に株式を売り抜けないよう、起業家が株式を売る時は一緒に投資家の株式を売ることができる。あるいは、その株式を購入できる権利。

・〇〇年までに上場できなかった場合は、投資家は会社売却を進めることができる権利。

・今回より低い株価で増資した場合は、引き受けた株価を下方調整する。

です。

希薄化防止、譲渡参加権、先買権、ドラッグアロング、ラチェットといった条項に記載されています。

 

3.経営に関するもの

・出資した資金は、事業計画を進めるために使うこと(事業とは関係のない不動産や高額会員権購入などはNGということ)

・取締役の派遣、または、取締役会にオブザーバーを派遣することができる。

 

4.ペナルティ

契約違反した場合のペナルティは、株式の買い取り、です。

基本的には守れる約束事ですが、不誠実に違反した場合には株式を買い取らねばならないという経済的に厳しいペナルティが定められています。でも、抑止的な意図です。

 

<優先株式の内容>

・会社が買収された場合は、優先株主が優先して買収代金を受取る。会社を解散した場合も同じ。

・優先して受け取れるのは、投資元本の◯倍まで。余りが出たら、株式シェアに応じて分配。

優先配当についても決められていますが、通常、配当を行うことはありませんので、あまり気にすることはないと思います。

 

以上が、投資契約書と優先株式の主な内容です。難しいことはありません。

 

つまり、起業家がまじめに事業に取組み、投資家に誠実に対応すれば、何ら問題はありません。

一方、投資家はリスクテイクして出資するので、応分の権利を保有でき、また、上場できない場合も資金回収できる機会を残す、ということです。

日本の投資契約書と優先株式の内容は、米国で起業家とVCの間で長年培われてきたものですので、大枠はフェアなものに落ち着いています。個人的には違和感はありません。

ただし詳細は話し合いで決められます。例えば、「株価は起業家側の主張に従うから、優先分配は投資元本の1.5倍にしてくれ」、「あなたが会社を勝手に辞めたら、株式は在籍年数に応じて投資家に渡してください」といった具合です。このような詳細については、調達側と投資側の需要と供給によって双方の交渉力が変わりますし、ちょっとした相場観が必要とされることがあります。

一方、例えば、経営幹部に対して、一体感を上げるために、起業家の株式の一部を譲渡することがありますが、そこで先買権を行使するような投資家を見たことがありません。会社をよりよくしたいというのが起業家と投資家の共通の願いですので、ちゃんとした理由がある場合は、変に権利を行使してくることはまずありません。

賃貸マンションの賃貸借契約は、借りる側におかしな人がいることがあるので、例えば「必要に応じて立入検査できる」といった条項があります。でもこれが行使されることは普通はありません。ベンチャー企業側で不誠実なことを行ったり、詐欺をはたらいたりする人が稀にいるので、このような約束事が決められてきたというわけです。が、まじめに事業に専念し、投資家に不誠実な対応をしなければ、怖いことはありません。

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