サービスローンチ前後のスタートアップの資金調達①
シリーズAとは
起業後、プロダクトを開発し、世の中にリリースする前、あるいは、リリースした直後くらいに行うスタートアップの資金調達について記載します。
会社が初めて発行する種類株式はA種優先株式(Series A Preferred Stock)と言われ、A種優先株式を発行する増資をシリーズAラウンドと言います。
プロダクトが完成し、これからサービスを開始しよう、あるいは、サービス開始直後くらいのタイミングでシリーズAを迎えることが多いと思います。
お金の出し手
このタイミングで少しまとまった金額の資金調達を行う場合、お金の出し手はベンチャーキャピタルさんやベンチャー出資を行っている事業会社さんになると思います。
ただ、ベンチャーキャピタルの方に聞くと、多くの方が「このタイミングでも出資の検討はできる」とおっしゃるのですが、実際、具体的に話を進めてみると、「やはりもう少し様子をみたい」となることが多いです。プロダクトが果たして顧客に受け入れられるのかどうか、見極めがつかないというのが主な理由と思います。
その一方で、実際に億単位の金額を出資するベンチャーキャピタルさんもいらっしゃいます。
それでは、この段階ではどのような視点でスタートアップを見ているのでしょうか?
ベンチャーキャピタルの視点
このタイミングは、「この起業家は顧客が喜ぶプロダクトをきっとつくれるであろう」という根拠が感じられるかと、「事業構想の大きさやおもしろさ」と思います。事業構想を具体的に語り、それに同意してくれるベンチャーキャピタルさんを募る、と言っても過言ではありません。
基本的なポイントは、シード期に似ていると思います。
シード期で記載したのは、
・起業家の起業前の経験や実績
・周囲が協力したくなるような人柄
・事業構想
シード期と異なる点は、プロダクトが完成している、またはリリース直前くらいのタイミングですので、
・事業構想がシード期に比べ具体的になってきていること、
・プロダクトの顧客が喜ぶであろう理由、
・今後の事業の進め方や戦略仮設、
・事業提携の状況、
・チームメンバーがどういう人たちなのか
事業展開の仮説についてより具体的な話し合いになります。
さらに、ほとんどの場合、最初の面会で「時価総額はいくらくらいで考えてますか?」と聞かれます。
整理しますと、
①起業家の起業前の経験や実績
②起業家の人柄とチームメンバー
③プロダクトの顧客のニーズ・ウォンツ
④事業構想と事業展開仮説
⑤時価総額といくら調達するのか?
が焦点になってくると思います。
資金調達活動というのは、結構時間をとられてしまいますが、事業について考え、今後の戦略を練るよい機会となるかもしれません。
①と②は、シード期の見方と同じです。次回以降で、③以降をもう少し詳しくみてゆきます。