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2012-10-17

米スプリントネクステル社を買収するソフトバンク。 ソフトバンクグループの財政状態は?

話題のソフトバンクの米スプリントネクステル社買収。買収総額は日本円で約1.5兆円となっています。そして、買収資金を金融機関から借り入れる予定のようですが、こんなに多額の資金を借りても大丈夫でしょうか??

私は、仮に買収後うまくいかなくても、致命的にはならない可能性が高く、返済可能と考えます。

まず、ソフトバンクの過去10年の業績を見てみましょう。表の金額単位は百万円です。

H15.3

H16.3

H17.3

H18.3

H19.3

売上

406,892

517,393

837,018

1,108,655

2,544,219

経常

△109,808

△71,901

△45,248

27,492

153,423

純利

△99,989

△107,094

△59,871

57,550

28,815

純資

257,396

238,080

178,016

242,767

716,237

自己資本比率

27.1%

16.7%

10.4%

13.4%

16.6%

H20.3

H21.3

H22.3

H23.3

H24.3

売上

2,776,168

2,673,035

2,763,406

3,004,640

3,202,435

経常

258,614

225,661

340,997

520,414

573,651

純利

108,624

43,172

96,716

189,712

313,752

純資

848,725

824,798

963,971

879,618

1,435,640

自己資本比率

18.6%

18.8%

21.5%

18.8%

29.3%

(同社、有価証券報告書より)

10年前のH15.3は売上高約4,000億円に対し約△1,000億円の赤字が出ていました。この赤字は事業失敗というより、ブロードバンド事業の先行投資コストが主な赤字要因です。そしてブロードバンド事業が軌道にのってきたところで、H18.4にボーダフォンを買収しました。それにより、売上規模、総資産規模も増加しました。そして、旧ボーダーフォン事業すなわちソフトバンクモバイルが軌道に乗ったところで、今回の買収になっています。

このように、ソフトバンクは大きな事業を1つ1つ仕上げた上で次の取り組みを行っていて、実は堅実に事業を進めていると言えます。

結果的に足元の業績は、売上高約3兆2,000億円、経常利益約5,700億円・経常利益率18%と好業績に至っています。

では金融機関からの借入や社債の状況はどうでしょうか?

H19.3の金融負債残高は約2兆2,900億円ですが、H24.3は約1兆5,700億円となっています。

ちなみに、先日買収を発表したイーアクセスは、H24.3売上高2,047億万円、経常利益121億円、純資産863億円、自己資本比率24.5%の会社。いい会社ですね。時価総額は約1,500億円ですが株式交換での買収ですので、ソフトバンクのキャッシュアウトはないです。

一方、米スプリントネクステル社は、H23.11で売上高約2兆7,000億円、損失が約2,300億円。赤字が続いており、財政状態が悪いと言われています。ただ、直近の営業キャッシュフローは約3,000億円、財務キャッシュフローを差し引いても約200億円のプラスとなっています。(何か償却費のような資金流出を伴わない費用が多いと思います。)

http://finapps.forbes.com/finapps/jsp/finance/compinfo/CashFlows.jsp?tkr=S

ソフトバンクのH24.3の営業キャッシュフローは約7,400億円、財務活動のキャッシュフローは約△2,000億円ですから、都合、5,400億円のプラスと計算できます。仮に米スプリントのキャッシュフローがプラマイゼロであれば、計算上は最短で3年ちょっとで返せることになります。仮に新たに1.5兆円借りると、金融負債合計は約3兆円になりますが、それでも6年以内には全借入金を返せる計算になります。その間に、国内はイーアクセス統合効果、海外は米スプリント社のテコ入れと統合効果を出せば、なお返済余力が出ます。仮に、米スプリント社の再建がうまくいかなかったとしても、途中で売却するなど判断のタイミングを誤らなければ、致命的にはならない水準だと考えます。

実際にはもっと深い読みがあるはずですし、様々な角度からシミュレーションしているはずですが、有価証券報告書をザラッと見た限りでも、この買収と資金調達は無謀ではなくチャレンジの範囲であると感じます。

それにしても、成長意欲のある企業は、ベンチャー企業だけでなく、こんなに大きな会社になっても、外部からの資金調達が必要なのですね。

蛇足ですが、KDDIの直近の業績は、売上高約3兆5,700億円、経常利益約4,500億円。過去5年目立った成長はしていません。

ドコモは、売上高4兆2400億円、経常利益約8,800億円。こちらも過去5年目立った成長はしていません。

米スプリントネクステル買収で、ソフトバンクグループの売上高は、イーアクセスの売上も含めると単純合算で約6.3兆円になります。NTTグループが連結で売上高約10兆円。NTTは成長が止まっていますから、近い将来、ソフトバンクがこれを超える可能性は十分にありますね。

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