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2015-08-25

経営層は 指示する立場から 現場のアドバイザーに。顧客と経営層の距離を縮めた組織構造が望ましい時代

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バブル時代に、ある大手企業の社長が、「頭がいいのは俺だけでよい。あとはバカになって働いてくれる人が必要だ」と公言していました。業績は絶好調。売れることがわかっているのだから、あとは労働力をかき集めろ。

高度成長期からバブル期まではこのような時代が続きました。あれこれ考える人よりも、指示通り遂行する人材が重宝された時代。このような状況であれば、社員の満足・不満足は別にして、昔からある階層型組織は適していたかもしれません。

それから時代は流れ、現在はモノもサービスも溢れ、顧客が情報を持ち、主導権は企業から顧客に移行。顧客に大きな満足を提供する商品力とサービス力が非常に重要になってきました。

この状況では、上意下達は逆効果の危険があります。顧客から一番遠い上位者が指示を出す構造だからです。

そうではなく、顧客と接している現場の感触を重視し、現場が試行錯誤して、現場主導で業務を進めることが求められるようになってきました。

このような時代、求められる組織構造は、顧客と経営の距離を縮めることではないかと思います。ベンチャー企業であれば、経営者と顧客の距離は近いですが、少し規模が大きくなってくると、顧客と経営者の距離が離れてゆくことがあります。

しかし規模にかかわらず、経営者が現場社員と直接話し合い、意見を聞き、そして願わくは、現場の人たちが自律的に動き完結できる組織構造が望ましい。この時、階層は邪魔になります。多重高層の組織では、決裁に時間がかかり、現場が注力するべき仕事より、社内説明に費やすことの方が多くなってしまいます。管理や規則が過ぎると自主性やモチベーションを削いでしまう。

ホラクラシー(※)が注目されるのはこのような背景があるからでしょう。もっとも、中間層がゼロ、というのはいろいろと難しいこともあるのですが、できれば経営層と現場の間の中間層は1つにしたいところです。

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※ホラクラシー

ホラクラシーは、管理者不在の完全フラットな組織。

人材に思考とそれに基づいた行動を求め、現場が自律的に業務を進めるものです。

今はテクノロジーが日進月歩で進化し、顧客の志向も移り変わりが早い。管理者の判断や指示を待っていると時間がかかったり、管理者が必ずしも適切な判断ができなかったりすることがある時代です。そこで、現場の人たちが自分たちで考え、トライアンドエラーを繰り返しながら進めた方が解にたどりつきやすい、ということだと思います。

ただし、これは個々人に自立性がないと遂行が難しいかもしれません。

 

トータルフットボールとホラクラシーの共通点

サッカーには、「トータルフットボール」という考え方があります。

ポジションが流動的で全員で攻め全員で守るもので、究極のサッカー組織と言えます。

これを実現したのが、1974年のワールドカップのオランダで、ヨハン・クライフ率いるチームでした。この時の映像を見ると、ボールを持った相手選手に、次から次へと選手が押し寄せ、相手選手が苦しまぎれに前線にパスを出すと、全てオフサイドになるという映像です。衝撃的でした。

ただし、これが機能したのは、ヨハン・クライフなど圧倒的な選手が存在したからという見方があります。その後、一部の欧州クラブチームでこれを目指しましたが、現在のスタンダードにはなっていません。

なぜなら、選手全員が技能面・戦術面・体力面で非常に高いレベルに達していないと機能しないからで、通常のチームでは実現が難しい。

全てのチームが目指す姿でありながら、永遠に実現することがない、と言われています。

ホラクラシーも同じようなことが言えるかもしれません。

しかし、組織は階層が1つ増える度に情報の共有量が半減し、代わりに雑音が倍増えるといいます。完全に階層をなくすことが難しくとも、階層が極力少ない方がよいことに変わりはないようです。

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現場が自律的に動くということは、経営層が現場の社員を頼ること。

これまでは、経営層が現場に指示することが当たり前のように考えられてきましたが、これからは、現場の人たちに頼ることが理想になるかもしれません。

経営層は戦略・方針・ミッションを定め、現場の人たちはそれに基づき業務を考え、行動し、結論まで出して経営層に伝える。現場は権限と責任があるので自らのこととして仕事を行うようになる。

経営層は指示する立場から現場のアドバイザー的な存在になる。このような姿が、理想の組織の1つなのかもしれません。

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