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2015-05-12

時価総額はどうやって決まるのだろう?(2)

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前回からの続きですが、私は時価総額の前に、まず、起業家の株式シェアを考えます。

以前、以下のような相談を受けました。

「創業したら2,000万円出資してくれそうな人がいるが、どれくらいの株価で出資してもらったらよいのか?」

ご本人としては、「創業時と同じ株価でないといけないのではないか?でもそうしたら、その人の株式シェアが圧倒的に大きくなってしまう。どうしたものか?」 と考えたわけです。

創業期でまだ何もない時期に、その会社の時価総額を計算式で算定するのは非常に困難です。

そこで私は、「その方が10%くらいの株式シェアになるようにして株価を計算して、その方にご相談されてはいかがですか?」と回答しました。

経済的な根拠というより、お金の出し手の方が同意するかどうか。同意すればそれが株価、ということになります。

私は、起業家の片棒を担いで、このようなことを言っているのではありません。会社の成長と、成長もための今後の資本政策を考えると、10%くらいが最もよいと思ったからです。

これから会社を成長させる原動力は起業家自身のがんばり。だから会社の主人公となる起業家の持ち分は多くなければならない。

これからも、何回か増資する可能性がありが、増資を繰り返しても起業家の株式シェアが上場までは51%以上あった方がよい。

なぜなら、厳しい状況に陥りやすいベンチャー経営で、最後まで力を発揮できるのは起業家であり、「自分の会社」という認識、「俺ががんばらねば」という気持ちこそが極めて重要になると考えます。

そのためには、起業家が上場まで50%を持てるようにするのに、あと40%分くらいの株式数は今後の増資のためにとっておきたい。

もっとも、自身をプロ経営者と認識して株式シェアにあまり拘らない起業家もいますが、それは大変立派な考えだと思います。

ただ、一般論として、ベンチャー企業経営は問題・課題の連続で、様々な障害や危機を乗り越える必要があります。起業家の事業にかける精神力と踏ん張りが会社の危機を乗り越え、成長を決めます。

だから、「俺の会社」・「私の会社」という意識は非常に重要と思います。

ちなみに、経営者の「俺の会社」という意識が経営者の暴走につながる、と考えられることがあります。しかし、それが問題になるのは、既に出来上がっている会社で、暴走すると会社が大きな危険にさらされ、多数の顧客、従業員、株主、債権者に大きな迷惑がかかる場合です。

そして、それを株式シェアの面からも裏付けた方がいいと思います。大株主が別の誰かとなると、いざという時、他人事となり、踏ん張りがききにくいと思います。

またスピーディーにものごとを決めてゆかなければならないのに、いちいち大株主にお伺いを立てたり、株主総会を開いたり、ではベンチャーは立ち行きません。

このような考えで10%と申し上げました。

2,000万円で10%であれば、増資完了後の時価総額は2億円と計算されます。創業間もない時期に時価総額が2億円ですから、普通に考えれば理屈に合わないかもしれません。

ただ、もしかしたら、将来何百億円の時価総額になるのかもしれません。そう考えれば、高くないとも言えます。

これでいいのだと私は思います。

その後、この話は10%の株式シェアということで話が決まったようです。

もちろん、企業の経済価値の理屈も考えますが、起業家の株式シェアの観点からも時価総額を考える必要があると思います。

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