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2015-04-14

資本政策の考え方 起業家の株式シェア

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前回の続きです。

資本政策を考える場合に最も重要なのは、起業家の株式シェアが何%になるか、だと思います。

ベンチャー企業の成長は、起業家が主導することが最もよいと思います。それを株式シェアとリンクさせる必要があると思います。

なぜなら、ベンチャー企業の成長過程は、困難の連続であり、危機的な状況も乗り切らなければなりません。これを行えるのは、人生の勝負をかけている人でなければムリだろう、と思います。一部の例外を除き、「自分の会社」という認識がない人が社長だと、会社はしぶとく生き残らない。できるのは創業した起業家です。

創業者とCEOが異なる場合があり、それでうまくいくこともありますが、私はやはり創業者がそのままCEOとして企業成長を牽引するのが理想だと思います。

上場して、利益がたくさん出て、ちょとやそっとじゃ沈まない会社になれば、社長が変わっても会社は存続するでしょう。でも、少なくともそれまでは、起業家が支える会社が望ましいと思います。

例えば、金融機関から借入を行うことがあります。ほとんどの場合、代表者の保証を求められます。そのような時、起業家の株式シェアが高く、「自分の会社」という認識があれば、起業家が「保証人になってもいい」と思うかもしれません。しかし、大株主が別にいて、起業家のシェアが少ない時、もっと言うとサラリーマン社長であれば、保証リスクは取れないかもしれません。だから、起業家が「自分が主導する会社」、「自分が守らねばいけない会社」、と思えるだけの株式シェアが必要なのだと思うのです。

それゆえ、創業直後の段階で、起業家の株式シェアが100%あるいはそれに近くないと、その後の資本政策の自由度がグーンと減ってしまうので、創業時、創業直後の株主構成から戦略的に取り組む必要があります。

では、起業家の株式シェアはどれくらいが望ましいのでしょうか?

私が考えるのは、上場前で、
「理想は51%以上」
「次善の策は34%以上」
です。

ただし、資金的にいろいろと苦労したり、大きな資金調達や資本提携を繰り返したりすると、起業家のシェアはさらに下がることもあります。その場合は、
「筆頭株主でいる」
つまり、株主名簿の一番上にいる、というのが望ましいと思います。

起業家のシェアが小さくなった時、1株で10個の議決権のある株式を起業家向けに発行して、2つの種類の株式がある状態で上場する「Dual Class」というやり方があります。Googleがそうでしたし、日本でもサイバーダイン社がそうでした。 ただし、これはどんな会社でもOKなわけではなく、このようにすることで、企業価値がより高く可能性が高まる、企業価値の毀損が避けられる、という明確な理由がある場合にのみ認められるのだと思います。

いろいろな紆余曲折があるので、理想通りの資本政策とはいかないこともあります。

逆に起業家がシェアを気にしすぎて、資本政策を硬直化させると、チャンスを失うことになりかねません。ある程度柔軟に考えてゆく必要があると思います。

ただ、起業家の株式シェアは、その会社の存続と成長に大きな影響を与えると思いますので、外部の人たちからも理解と協力を得たいところです。

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